日本語に活きる中国故事

蛍雪の功

中國故事

 

今私たちが話している日本語の語彙や言い回しの中には、中国の故事を起源とするものがたくさんあります。このコーナーでは、それらをわかりやすくご紹介します。ここに掲載する文章は主に、2009~2013年の間に書いたもので、当時の社会情勢に絡めて執筆しています。執筆年月日は各記事末に記載していますので、タイムスリップしてお読みいただけたら幸いです。

 

日本では間もなく卒業式シーズンで、今でもよく歌われるのが、「蛍の光 窓の雪」です。これがずばり、「蛍雪の功」の故事に由来していると言われます。

中国の晋の時代に、車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)という二人の若者がいました。二人の家はともに貧しく、ランプの油を買うお金もありませんでした。そこで、車胤は、夏の夜に、絹の袋に数十匹のホタルを入れ、その明かりで本を照らして勉強しました。一方、孫康は、冬の夜に窓辺に積った雪を明かりに勉学に励みました。その努力の甲斐あって、二人は後に高級官吏になりました。

(『晋書』車胤伝・孫康伝より)

この故事から、「蛍雪」は、苦労して勉学に励むことを意味するようになり、それによって成し遂げた成果が「蛍雪の功」ということです。「蛍雪の功なってみごと合格する」といった具合ですが、若い人はもうそんなことを言わないかもしれません。

ところで、450代から上の人で、大学受験を経験したことのある人なら、「蛍雪」と聞けば『蛍雪○代』を連想するのではないでしょうか。1932年創刊の受験雑誌で、まだそれほどには予備校がなかった1970年代までは、『高三コ○ス』と並んで、受験生にとっては欠かせない受験勉強・受験対策用雑誌でした。(『蛍雪○代』は今も健在です。)

当時は、今ほどに快適な勉強環境がなく、部屋の中でも、ハンテンにくるまり足に毛布を巻き付け、白い息を吐きながら夜遅くまで頑張った受験生が多かったのではないでしょうか。正に、『蛍雪○代』や『高三コ○ス』と二人三脚の「蛍雪」でした。

(瀬戸 2010/02/06執筆)

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