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五声と五臓 声から健康状態を判断

五声と五臓

 漢方医学には「望、聞、問、切」という四つの診察法があります。つまり目で見たり、耳で聞いたり、鼻で嗅いだり、口で問いかけたり、手で触ったりすることによって得た情報を合わせて分析し、健康状態を判断します。そのうち、耳で聞いた情報として、「呼ぶ(さけぶ)・笑う・歌う・泣く・うめく」という五声から五臓の機能を判断することが出来ます。五声と五臓は、「肝が呼ぶ・心が笑う・脾が歌う・肺が泣く・腎がうめく」のように対応しており、経験豊富な漢方医は、患者が発したこれらの音声の変化から、その人の臓腑機能の状態を見分けることができます。

肝臓に対応する声は「呼ぶ」

 肝気が鬱結(滞り)し、あるいは肝陽が亢進している人は、怒りっぽかったり、叫んだりすることがよくあります。肝気が鬱結している人は、しばしばため息をつきます。これは実は無意識の自己救助行為であり、外に向かって息を吐いて発声することで、肝気の鬱結を軽減させているのです。

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(写真:pixabay/Robin Higgins)

 そのため、肝気の鬱結によって生じた肝火(熱邪)が強い人は、両手を肝臓の位置に当てて、肛門を持ち上げ、深く息を吸い込んでから、「シー」という音を出しながら息を吐きだせば、情緒を整え、怒りによる肝臓に対する傷害を緩和することができます。漢方薬の柴胡、紫蘇葉、玫瑰花(まいかいか)などは、肝臓のストレスを軽減し、気の滞りを防ぐ効果もあるので、適度に使うと良いでしょう。

肝気鬱滞を緩和する漢方茶 柴胡甘草茶

【材料】 柴胡3g、甘草3g

【用法】 生薬を急須に入れて、熱湯を200ml注いで3分間置いてからお茶のように飲む。

【効能】 柴胡は肝の熱を冷まして、気鬱による痛みを抑えることができます。甘草は解熱、解毒の作用があり、さらに気を補い、津液の生成を促進する作用があります。

 

心臓に対応する声は「笑う」

 適度に笑うことで心の気の流れを良くし、健康を促進することができますが、笑いが多すぎると心の気を消耗して傷つけることになります。突然な大喜びで笑いが止まらず、それによって心臓病発作で亡くなった人もいるようです。これは笑うことで心の気を一気に散らしてしまったからでしょう。

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(写真:pixabay/Pexels)

 
 普段から干しサンザシを少し食べれば、その酸っぱい味は気を収斂し、心の気が散ってしまうのを抑え、心臓を守る効果があります。また、心臓の邪気を排出するために、両手を心臓のところに当て、肛門を持ち上げて、息を吸い込んでから、「へー」という音を出しながら息を吐きだせばよいです。

心の気を養う漢方茶 枸杞酸棗仁茶

【材料】枸杞子30g、酸棗仁(炒めて)40g、五味子10g

【用法】混合した生薬を10g急須に入れて熱湯で振り出してお茶のように飲む。

【効能】心の血を養い、心の気を収斂させることができます。

 

脾臓に対応する音は「歌う」

 脾の気が強い人は声がよく通り、歌の声が響き渡り、腹の底から声が出ます。

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(写真:pixabay/Anastasia Borisova)

 脾の気が弱い人は話し声が小さくて弱々しく、歌を歌う時、腹の底から力が湧いてきません。したがって、歌を歌うのが好きな人は、脾の気を増強するために山薬(山芋)、ナツメ、蜂蜜などの食品を好みます。脾臓の邪気を排出するために、両手を脾臓のところに当て、肛門を持ち上げ、息を吸い込んでから、「フー」という音を出しながら息を吐きだしたら良いです。

脾の気を補う薬膳 山芋のお粥

【材料】山芋100g、お米30g

【用法】山芋とお米30gを煮込んでお粥にして食べます。

【効能】脾の気を補い、消化を助ける効果もあります。山芋は非常に消化しやすい食材で、お米と混ぜてお粥を作ればいっそう消化しやすくなります。山芋はまた、アミラーゼとポリフェノールオキシダーゼを大量に含む食材で、しばしば山芋粥を食べれば、脾臓と胃の消化機能を高めるのに効果があります。

 

肺に対応する音は「泣く」

 肺の気が強い人は泣き声が大きく、弱い人は泣き声が小さく弱々しいです。 泣いて涙を流すのは、ストレスを発散する効果があり、健康に良いのですが、しょっちゅう泣くと肺の気を傷めてしまいます。

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(写真:pixabay/engin akyurt)

 よく泣く人は普段から白キクラゲ、ユリ、クラゲ、干し柿、ビワ、イチジクなどの肺を強くする食べ物を多めに食べるのがいいでしょう。また、肺の邪気を排出するために、両掌を上に向けて頭の上まで持ち上げ、肛門を持ち上げて、息を吸い込み、喉からではなく胸の内側から「スー」という音を出しながら息を吐きだします。

肺を補う薬膳 ユリ根のお粥

【材料】ユリの根30g、うるち米100g、氷砂糖30g

【用法】ユリの根とうるち米でお粥を炊き、 お粥ができあがる直前に氷砂糖を加え、数分煮れば完成。朝晩食べます。

【効能】肺の気を補い、肺の陰を養い、肺の気陰不足の人に適しています。

 

腎臓に対応する音は「うめく」

 生活の中で、痛みがあると人はうめき声を上げますが、これは実は腎臓に隠れている「元気」を調整しているのです。例えば、痛くて耐えられない時、人はうめき声を上げます。また、非常に楽しい時にもうめき声を上げます。これも「元気」を調整しているのです。腎臓の邪気を排出するために、両手を腎臓のところに当て、肛門を持ち上げ、息を吸い込んで、「アイー」という音を出しながら息を吐きだします。

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(写真:pixabay)

 しかし、しょっちゅううめき声を出している人は、腎臓に問題がある可能性がありますので、普段から羊肉や犬肉、ニラ、龍眼など腎臓を強くするものを多めに食べることをお勧めします。

ー希望之聲から翻訳編集

 

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